訪問時期:2022年7月
浜松は日帰りも可能なので、宿泊は必須ではない。しかし、面白そうな宿を発見してしたので一泊することにした。それが天竜浜名湖鉄道(天浜線)の二俣本町駅の駅舎直結のINN MY LIFE。古い駅舎をリノベーションして宿泊施設にしたもの。一部屋しかないので一日一組限定。これは泊まってみたいなと思い、予約した。
INN MY LIFEの予約を完了すると、宿舎の周辺の案内のPDFの冊子が送られてくる。このPDFの冊子が凄く良かった。旅路の参考になることはもちろん、行く前からワクワクさせてくれる。
冊子ではエモいという表現が使われていて、その理由はよく分からなかったけど、実際に天浜線に乗車して移動してみるとエモいという言葉が使われた理由が分かった。確かに天浜線で移動するとエモさを感じる。どことなく感傷的な気分に誘われる。
天浜線の二俣本町駅の全景。右側が待合室、左側のウッディな囲いの部分がINN MY LIFE。長屋の中に待合室と宿舎が同居している。もちろん完全にセパレートしているので、待合室の人と会うことはないし、プライバシーも守られる。
一時間に一本しか来ない天浜線の特徴上、待合室で電車を待つ人は結構存在している。特に学生が多かったかな。
INN MY LIFEには左側の通路から入る。
INN MY LIFEの玄関の様子。奥のテントで覆われているのは自転車。
扉を開けると、スタッフがお出迎え。予め到着時間を連絡済みなので待っていてくれてる。ここで施設の丁寧な説明を受ける。それと宿泊代金を支払う。支払いは現金かPAYPAYのみ。
本来なら予約時に天浜線の一日券切符が自宅まで送付されるサービスがあるのだが、予約が直前になったため、一日券切符の領収書を見せることで代金を差し引かれる。このサービスは実に良いね。
部屋の様子。
外観とは打って変わって、モダンで洗練されている。これ見たら泊まりたくなるよね。
ベッドの様子。枕の横にUSBコンセントもあり。
タオルみたいなシーツの肌触りが良く、極めて爽快な寝心地だった。
ただ、障子の窓はカーテンがないので、朝日が睡眠の妨げなるかもしれない。朝日とともに目覚める自然の生活という観点からは良いのだけど。それと電車がすぐそばなので、ガタゴトと音も結構する。また、建物も木造なので周囲の音が気になるかもしれない。
ちなみに私はこういう場合に備えてアイマスク&耳栓を常備しているので、問題なかった。
ベッド横にかけられたパジャマ。
オーディオ&ブックラック。以前の写真では存在してなかったので、最近導入されたものだろうか。
オーディオはなかなか凝っていて、アンプはトライオードの真空管アンプTRV-88SER。スピーカーはJBL4309。CDプレーヤーはトライオードの真空管バッファ回路のTRV-CD6SE。レコードプレーヤーはMoFiのStudio Deck 2(型番確認するの忘れたけどおそらくこれ)。針はOrtofon。どれも超高級品ではないけど、10万円~30万円クラスの品で決して安いものではない。全て合わせると80万円くらいなので、ホテルの部屋のオーディオとしてはトップクラスではなかろうか。これ以上のオーディオとなるとノーガホテル秋葉原のデラックスツインとかになってくる。
INN MY LIFEの部屋の空気に真空管アンプの音はマッチしていた。真空管アンプのせいか、真空管バッファ回路のCDプレーヤーせいか、CDもレコードのような音響で聞こえてくる。ここでは、CDとレコードの違いがあまりないように感じられた。
備え付けのレコードとCDはジャンル的に主に3種類で、NUJABESなどHYDEOUTレーベル、高木正勝のMarginaliaシリーズ、ビル・エバンス、キース・ジャレット、マイルス・デイビスといったジャズの名盤。これら3種類が揃っている。全方位に対応可能なラインアップ。
いくつか試し聞きしてみたけど、INN MY LIFEの雰囲気に抜群に合っていたのは高木正勝のMarginaliaシリーズだと思った。あとはNUJABESも久々に聞いたな。NUJABESはリマスタリングしてほしいね。
最近は東京のK5とか本格的に音楽を楽しめるホテルが増えてきて嬉しい限りだね。
ニーチェアエックスが2脚設置されている。ここもINN MY LIFEのポイント。
兼ねてより気になっていた椅子でくつろぐことが出来て大満足。評判通りの座り心地で、音楽を聴きながらリラックスしすぎてしまった。ニーチェアはニーチェアエックスロッキングというロッキングタイプの揺れる椅子もあって、そちらは更に良さそうだなと気になっている。
部屋の反対側の様子。ダイニングテーブルには12.9インチのiPadがあって、自由に使える。
食器やカトラリーは充実している。
冷蔵庫の中には、翌日の朝食がタッパーに詰められている。
あとドレッシングとミネラルウォーターが一本。冷蔵庫の横にははちみつがある。シンク下にはワインクーラーがあって、ワインが貯蔵されている。ワインはもちろん有料。
緑茶やケトルもあるので、お茶も楽しめる。ただ、法令の関係上、火を使った料理などはできないとのことだった。
天井を見上げたところに小さなアートが。
このアートがぼんやりとした気分を加速してお気に入りだった。
洗面所の様子。
バスルームの様子。ここはもともと駅長室だったとか言っていたと思う。
お湯を張ってバスタブにつかるのは極上の時間だった。シャワーヘッドを下からドッキングさせればレインシャワーにもなる。きれいだし、水回りは完璧だね。
アメニティはMARKS&WEB。
歯ブラシは備品にはなくて、予約時に別料金で申し込む。
かなや刷子の歯ブラシ。使い捨てではない、耐久性もあり持ち帰って使用も可能。初めて知ったけど、とても気に入ったので、これからは自宅でもかなや刷子を使用しようと思っている。
街をサイクリング
玄関先のテントには自転車が2台格納されている。
天候もいいしせっかくなので、自転車で街をサイクリングしてみる。
INN MY LIFEの真ん前、つまり二俣本町の駅前の様子。INN MY LIFEは人里離れた場所に存在しているのではなく、割と住宅街の中に存在している。
「昭和の香りがする町 天竜二俣」の案内看板。
二俣川。天竜川の支流。この景色、心が洗われるよね。
秋野不矩美術館にやってきたけど、休館日。ここは昔に一度だけ訪れたことがある。
森のマルシェ きころ。スーパーマーケットで2022年2月にオープンしたそう。ここで宿舎で食べる夕食を買ったりした。近隣のお店は休みが多かったし、昼の遅い時間にうな重を食べたこともあり、夕食は軽めに購入した。
森のマルシェきころから見たクローバー通り商店街の様子。
クローバー通り商店街は活気がないシャッター商店街かと思いきや、ちらほらと今風でオシャレなお店もあったりして、これから面白くなるかもしれない。
この後は、天竜二俣駅まで足をのばし、駅舎と展示されている電車を見て、INN MY LIFEに戻った。天竜川のほうまで行きたかったけど、時間も遅くなったし、食品を買ったりしてしまったので、断念。
翌朝
朝食の様子。
冷蔵庫のタッパーから取り出して盛り付けをする。サラダ、ベーコン、ハム、パン、チーズなど。飲み物だけは前日にスーパーで購入した100%洋ナシのジュース。どれも美味しかった。あと、ヨーグルトも用意されていて、はちみつと共に食べたりして楽しんだ。
チェックアウトして、宿を離れるときに撮った一枚。
チェックアウトは鍵を所定の場所に収めるだけで手続き不要。電車が迫ってたので慌てて天浜線に乗り込む。逃すと一時間待たなくてはいけない。
この日は雨が降っていて、前日の晴天とは大違い。天気が良い日にサイクリングしておいて良かったと思った。
まとめ
INN MY LIFEは思ってた以上に良かった。田舎で森林を感じながら過ごしたいけど、古い民宿じゃ嫌、清潔でモダンな宿舎が好き、という志向にはおあつらえ。
一室しかないので誰とも会わないのもストレスフリー。ニーチェアでくつろぎながら、真空管アンプの音楽に浸るのは最高のリラクゼーションだった。今年に泊まったホテルではDDD HOTELとグレートモーニングが出色だと感じてけど、そこに割り込む勢いでINN MY LIFEもお気に入りとなった。日常の雑事は遥か彼方へ、これぞリトリート。
浜名湖でうなぎを食べて、天浜線で移動して、INN MY LIFEに泊まる旅路、実に良い!