訪問時期:2022年6月
国立西洋美術館は上野駅の公園口から徒歩1分程度とアクセスが実に良い。その公園口はJRの上野駅のみ利用可能なのだけど、なぜか銀座線で上野駅に到着してしまった。はい、知りませんでした。銀座線だと公園口を利用できないのを。
おかげで猛暑日の凶悪な陽ざしを浴びながら、国立西洋美術館までの緩い坂道を歩く羽目になってしまった。上野駅にはJRで行くべきだった。
さて、日曜ということもあり、午前10時の開館時点で既に結構な混雑。チケットブースでも行列が10~20人くらいできている。休日の朝一から美術館に来る人は結構多いのだね。
建物地下一階の展覧会場も混雑していて、特に入口付近はじっくり見れる雰囲気ではなかった。少し奥のほうに行くと隙間ができて鑑賞しやすくなるんだけど、なんであんなに入り口付近は混んでいたのか。
入口付近にあったモネ「ルーアン大聖堂のファサード(朝霧)」
ドイツのエッセンにあるフォルクヴァング美術館の収蔵作品と国立西洋美術館の作品が展示されている。こちらのモネはフォルクヴァング美術館のもの。わざわざ持ってくるだけあって、フォルクヴァング美術館の作品のほうが全体的にレベルが高いように思えた。
異様な迫力に満ちてますね。
モネ「セーヌ河の朝」。
これは国立西洋美術館の作品。ならいつでも見れるからいいかとか思ったりもしそうだけど、10何年に一度くらいしか来ないからそういう意味では滅多に見れない。「セーヌ河の朝」は印象に残る絵画だった。
会場の序盤のほうにあったゲルハルト・リヒター「雲」。これもフォルクヴァング美術館の作品。
好みの作風のはずなのに、さほどピンと来ないのは、展示方法の問題なのだろうか。それとも作品が性に合ってないのか。つい先日に、国立近代美術館のゲルハルト・リヒター展で大量にリヒターの作品を見たのも影響してしまっているのかもしれない。地下の広いとは言えない空間での展示方法も作品とフィットしているとは言い難い。
リヒターの作品はこの「雲」の一つのみの展示。
「雲」の横にあったリヒターの言葉。深く納得させられる。同じような記述が東京国立近代美術館のゲルハルト・リヒター展でもあったような。
ルノワール「木かげ」。国立西洋美術館の所蔵作品。
こちらもはっと目を惹く作品。
ゴッホ「刈り入れ」。
ゴッホ「ばら」。
ゴッホの作品は二つ展示されていて、二つともフォルクヴァング美術館のもの。ゴッホらしさに溢れている「刈り入れ」が白眉だと思った。このリアルで生々しい色彩は絶対に実物で見ないと伝わらない。ゴッホの作品はいつもそうだ。平面的な写真ではなく、実物の立体的な厚みを感じないといけない。
他にもエミール・ノルデやエルンスト・ヴィルヘルム・ナイの作品がとても良かったのだけど、なぜか撮影禁止。どちらもフォルクヴァング美術館のもの。撮影可能な作品と禁止の分かれ目はどこにあるのだろうか。
正直言うと、リヒター目当てで行った展覧会だけど、他の作品が面白くて訪れた価値はあった。
国立西洋美術館リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ
フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで
会期:2022年6月4日(土)~9月11日(日)
開館時間:9:30〜17:30 毎週金・土曜日:9:30〜20:00
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2022nature.html
続いて常設展へ。料金は企画展に含まれている。
1~2階で展示されていて、こちらのほうが国立西洋美術館という感じがするかも。
ヴィルヘルム・ハンマースホイ「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」
これが今回の国立西洋美術館で最も感銘を受けた作品。止まった時間のような空間と静謐さに心を打たれる。ハンマースホイの作品がもっと見たい。
ピエール・ボナール「坐る娘と兎」。もう一つボナールの作品はあったけど、こちらのほうが断然印象的だった。
見終わって、去り際に建物の全景図。
せっかく上野公園に来たのだから久々に大道芸でも見ていきたかったところだけど、猛暑と陽射しが激しかったので、早々に上野駅へ逃げ込んだ。こういう時に徒歩1~2分の立地は便利。もう一度だけ言うと、上野駅の公園口を利用できるのはJRのみだ。
国立西洋美術館