訪問時期:2021年10月

東京都現代美術館で横尾忠則の企画展「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」を見てきました。お目当ては新作ですね。どうも氏の近年の作品はますます研ぎ澄まされた感があって、気になっているので、ちょうど現況が見れるというのでいそいそと駆け付けました。

長かった緊急事態宣言の冬(実際の季節は夏だっだけど・・・)も終わり、いよいよ平常運転となりましたこの頃。また年末頃には感染者が急増して緊急事態宣言の再発とか、いやそもそももう風邪と同じ扱いにしていいだろという声も聞こえてきまして、COVID-19についてはどうなるか全く予想つきません。私は預言者でも祈祷師でもないので先のことはさっぱり分かりません。

とりあえず言えることは、「今、行けるうちに行っとけ」という名言に従うことです。

気付いたら、海外にもすっかり行けなくなってしまいましたからね。本当に行けるうちに行っとけということです。自分だっていつ身体が壊れたりするか分からないです。

さて、東京都現代美術館にやってきました。東京の西の端のほうに住んでいる私としては、東の端にまで来るのは結構大変です。今回なかなかスムーズな行き方を発見したので次からはもう少し気楽に来れそうです。

開始の10時に到着したのに、既にそれなりに混雑してました。横尾忠則は人気ありますね。カウンターで2900円のセット券チケットを購入。同時開催の「海、リビングルーム、頭蓋骨」も観たかったので、お得なセット券を購入したのですけど、値上がりを感じましたね。横尾忠則展を単品で鑑賞しても2000円です。ステルス値上げならぬ、白日のもと値上げですかね。

その横尾忠則展ですが、なんと撮影禁止!昨今は撮影OKな展覧会が増えている中、昔に戻ったかのような感じです。

というわけでここからは記憶をもとに文字情報で追っかけます。

まず、この展覧会、展示量が半端なく多いです。ほぼ絵画なのにこんなに展示量が多いのには驚きです。体力もいるし、トイレにも行きたくなるし、水も飲みたくなるしとなかなか疲れます。印象に残った作品を挙げてみます。

「多元宇宙論」のコーナーにあったラスメニーナスをモチーフにした作品。ピカソのラスメニーナスを自宅に飾っている私としては興味深く鑑賞しました。絵葉書も購入。あとテクナメーションは全体的に好みの感じでその中でも「網膜が見た夢II」が特に気に入りました。

「リメイク/リモデル」のコーナーにあったスイミングの大量にあった作品。1枚1枚見て行って、スイマーの必死な表情を眺めつつ、最後に大きいサイズでNo Goal For Lifeの文字が出てくるのにハッと唸らされました。自分も終わりなき旅の探求を続けないいけないのだなと。

「死者の書」のコーナーにあった顔のない女のシリーズの最初のほうにあった作品、タイトルは失念しましたが、一つだけとても気に入った作品があって、目がないところとか現代的で良いなと。作品リストを見ると2017年頃の作品みたいです。やはり近年の作は鋭いなと。

「Y字路にて」は20年前に原美術館の展覧会で見たのを覚えています。今回はそれに続きがあったこと、ダークに埋め尽くした「黒いY字路」なるシリーズがあることが発見でした。

「タマへのレクイエム」はペットの猫を偲ぶ悲しくなる大量の作品で、少しテイストが異なってました。最後にあった一枚、桜吹雪みたいな上を歩くタマの絵にもらい泣きをしそうになってしまいました。

「原郷の森」のコーナーは、2020年の2021年の新作が主に展示されています。ゴッホのような作風で昔の仲間を想わすような「千客万来」や、抽象が極まったような部屋の最後にあった「二刀流再び」が印象に残りました。横尾忠則の絵は完全な抽象にはなかなかならないのですけど、 「二刀流再び」 は極めて抽象的で、そしてキレキレだなと。また、近年の作品は色彩が明るく輝いていて、生気に溢れているように感じました。老いてますます盛んのように思えます。

そんな感じで、とにかく量が多くて頭がくらくらしました。割とハイペースで見たつもりだったけど、2時間くらいかかりました。最後に図録を買おうかと思ったけど、その図録は8000円くらいして、しかも分厚い書物だったので、断念しました。図録も電子書籍で販売してほしいですよね。

展示室の外にあったWITH CORONA(WITHOUT CORONA)は唯一撮影可能でした。

GENKYO 横尾忠則 
原郷から幻境へ、そして現況は?

  • 2021年7月17日(土)- 10月17日(日)

続けて鑑賞したのが地下の展示室の「 MOTアニュアル2021 海、リビングルーム、頭蓋骨」。

今思うと、鑑賞の前に休憩も兼ねてランチでも取ればよかった。というのもこの展覧会は映像作品主体で長丁場になったんですよね。

潘逸舟の海のモノクロ映像作品「波の収穫」と「戻る場所」。シュールでファニーな動きの人物も面白かったけど、 「波の収穫」 ではなにげに逆回しをしていたり、 「戻る場所」 ではレンズの圧縮効果のように遠近感が掴みにくい映像で、見せる作品でした。

マヤ・ワタナベ「銃弾」は不穏な空気を存分に漂わせて見応えがありました。ペルーの内戦に迫るという大仰なコンセプトは感じにくいものでしたけど、ずっと見てしまう不思議な感覚の作品でした。

他にも長大な映像作品が何本かあったのですが、疲れもあったのであまりじっくりは見ず。基本的にあまり映像作品を見ないこともありますけどね。

MOTアニュアル2021 
海、リビングルーム、頭蓋骨

  • 2021年7月17日(土)- 10月17日(日)

ここまで疲れたらもう一緒だろうと、続けてさらにコレクション展も見ることにしました。「MOTコレクション Journals 日々、記す 特別展示:マーク・マンダース 保管と展示」という展覧会です。

困ったことに、こちらも面白いもので、多分この展覧会だけ開催されてても他の美術館なら十分成り立つだろうなと思いました。いきなりChim↑Pomのような有名どころが出てくるくらいです。

気になったのは、特別展示のマーク・マンダース。6月まで開催していた「マーク・マンダース ―マーク・マンダースの不在」がコロナ禍により開催期間短縮となったことを受けて、作品返却までの間に違った構成で展示するというものです。巨大な顔の作品や椅子に座った作品など、不可思議な世界を楽しみました。

しかしながら、疲労があってさほど鑑賞に身が入らなかったのが残念です。反省として、横尾忠則展を見終わった後に、やっぱり休憩を入れるべきだった。東京都現代美術館のボリュームを軽んじてました。

Journals 日々、記す 
特別展示:マーク・マンダース 保管と展示

  • 2021年7月17日(土)- 2021年10月17日(日)

東京都現代美術館を離れた後は、遅めのランチを美術館の近くのお店でいただきました。インドカレー屋「ナンディニ清澄白河」です。店内もキレイで、こざっぱりとしたお店のわりに、本格的な味わいで、良い意味で期待を裏切ってくれました。次の機会があればビリヤニにしようと思った。距離的に近いので東京都現代美術館のランチブレイクにも利用できそうです。

清澄白河駅まで歩く途中にある深川資料館通り商店街はにぎわってましたね。深川めしのお店など。行列が出来ているお店もちらほらありました。ベトナム料理のお店にも行列ができてました。緊急事態宣言が明けて街が賑わってきたのを実感するような光景でした。

ただ私としては、新型コロナウイルスによって生活パターンや考え方が大きく変わってきてまして、フラフラ出歩くより、出かけないで勉強していたほうが自分のためになるというように考え方になってきています。今は英語の勉強をよくしているのですけど、TOEICの点数とか上がってますし、海外旅行でも役に立ちそうです。勉強は効率のいい自己投資だなと実感しています。街歩きや美術館巡りはとても楽しいけれど、過去に散々やってきたことでもありますので、頻度を減らす方向で考えています。時間は有限なので。

けれども「行けるうちに行っておけ」という言葉は至言だと思いますので、そのバランス取りに悩むところです。

それでは。